「利他」とは何か
伊藤亜紗 編 中島岳志 若松英輔 國分功一郎 磯崎健一郎
集英社新書
朝の通勤時に聞いていた車のラジオから 「利他」とは何か という本が紹介されていました。昨今のコロナ禍において「利他」というワードが世間では注目されているという触れ込みでした。
私としては全く聞いた事がない「利他」というワードですが、世間では注目されているという事なので興味本位のままアマゾンからKindle版を購入しました。
詳しい内容は割愛しますが、5人の著者がそれぞれの専門的な立場で「利他」を考察していくものです。意気込み勇んで読み始めましたが、どの節も私には難解な内容でした。とにかく睡魔との戦いだったし、頭の中は常に?マークが点灯している状態でした。
なんとか読み終えて印象に残っていることは、若年性アルツハイマーの方が「自分でできるのに」と呟く所です。その呟きから”過剰な介護”が思い浮かびました。”あなたのために”と行っている事が段々と「利己」になってしまう怖さを感じました。当事者の在宅生活を管理する事で安心・安全を確保する事が当たり前になっているともしみじみ思いました。
内容の一部には”そうじゃないよ!”と突っ込みたくなる所もありました。いずれにせよ、多様な考えをさせる「利他」という行為は人との関わり方を再確認する良い材料だとも思います。梅雨の不快な時期にわざわざ頭を悩ます必要もないと思いますが、物好きな方は一読されてはいかがでしょうか。